趣味教室の講師・協会の方必見! ディプロマの作り方を詳しく解説。許可は必要? 誰でも作れるの?
~ はじめに ~
これから開講する趣味教室で、修了者に対してディプロマの発行を考えているけれど、どのように作成してどのように発行すればいいかわからないという講師の方や協会の方もいらっしゃることと思います。
たしかに、これといった発行基準やマニュアルがあるわけではないので、わかりにくいですよね。
そこで、「ディプロマの役割とは何か」「ディプロマは誰でも作れるのか」という基本的なところから、具体的なディプロマの作り方までをご紹介していきたいと思います。
ディプロマとは何か?
ディプロマは、スクールや各種講座、セミナーなどの修了証明となるもので、卒業証書あるいは業績証明書にあたります。
そのため、ディプロマを持っているということは、その人が特定の課程やコースを修了していることの証明となります。
国家資格の免許状や証明書ではありませんが、一定の能力を保持していることの証になるため、専門的な分野に就職や転職をする場合には有利に働いてくれます。
ディプロマを作る理由・趣味教室におけるディプロマの役割とは?
メリット・デメリットはあるの?
◇ディプロマの役割
ディプロマには、どこでなんのコースを修了したかが書かれているため、取得した人たちが自身の教室やサロン、ショップなどに飾っておくことで、「あそこのスクールのディプロマだ!」と注目されます。
また、スクールやディプロマ保持者の技術に対する信頼もより高まります。
趣味教室で発行されるディプロマには、取得することで認定講師として教室を開いたり、作品をオンラインショップなどで販売したりといった活動を個人的に始められるものもあるので、教室や協会として、多くのプロを輩出しているという証明になります。
◇ディプロマのメリット・デメリットとは?
ディプロマは先ほど述べたことがそのままメリットになりますが、一方で、こんなデメリットもあります。
・高コストが受講者獲得のネックに
コースによっては、受講料・入会金・材料費などでトータル十数万円もかかるものがあります。
その上、修了後にはディプロマ発行料や更新料もかかることになるため、ディプロマ取得をあきらめざるを得ない人が一定数存在することは否めません。
・「協会しばり」が好まれないことも
ディプロマ取得後の協会外での活動を制限・禁止しているという協会もあるため、自由な活動を希望する人にとっては、コースの選択時に除外条件にされてしまう場合もあります。
ディプロマは誰でも作れるのか?
そもそも、ディプロマは誰でも発行できるものなのでしょうか?
答えは、「民間で個人的に発行することはいくらでも可能」です。
たとえば、パソコンスクールなどで、「初心者コース修了おめでとうございます」というような、ライトな意味合いで修了証をくれるところがありますよね。
ただし、
・文部科学省認可の教育機関や専修学校などで通用する資格と謳わない
・認可団体でないにもかかわらず、あたかも認可団体であるかのような表示をしない
・発行者の名前を騙らない
ということを厳守する必要があります。
また、誰でも発行できるものであるだけに、必ずしも社会的な権威が得られるというわけではありません。
履歴書に書くことはできても、そのステータスは発行団体の中でしか評価されない場合があります。
なぜなら、団体によっては、ディプロマ代獲得を目的に、ほんの数時間の講義を受けさせるだけでディプロマを発行するためどんどん講師が誕生、それに伴いまた新たな講師が誕生……というコースも存在するからです。
こういう講座でディプロマを取得した人と、何ヶ月もかけてしっかり勉強してディプロマを手にした人のスキルに大きな差があることはいうまでもありません。
ディプロマを作る手順
前項で、ディプロマは公序良俗違反をしない限り民間でも自由に発行できるということがおわかりいただけたかと思います。
では、ディプロマはどういう手順で作るのでしょうか?
ここでは、
1)ディプロマを発行する講座を決める
2)ディプロマに必要な内容を決める
3)ディプロマ(修了証書)のデザインを考える
4)印刷する
の順に、一般的な方法をご紹介していきたいと思います。
1)ディプロマを発行する講座を決める
ディプロマを発行する講座は、次のことを考えて決めていきます。
・教室におけるディプロマ発行の意義を考える
講座修了者にディプロマを発行することで教室や協会が得られるメリット、ひいては社会におけるメリットにもなることは何かを考えます。
いうまでもなく、ディプロマ取得者が増えることで、教室や協会の知名度や認知度が上がり、それによって新たな受講者を呼びやすくなるというのが最大のメリットになります。
しかし、先ほども述べた通り、くれぐれも、ディプロマ代の獲得のために短期間に安易に発行するようなことはやめましょう。
・ディプロマ取得によって生徒が得られるメリットを考える
ディプロマを発行することで、生徒にどんなメリットを与えられるかを考えます。
講座内容には、生徒に成長を実感させやすくし、なおかつモチベーションの向上と持続につながる工夫を取り入れる必要があります。
これらは講師の教え方のスキルや好感度次第という場合もあるので、あらためて講師陣がセミナーや勉強会などを開催・受講するのも一案です。
また、ディプロマ取得後のサポート体制が充実していることも、生徒にとっては大切です。
以上のことをふまえて、ディプロマを発行する講座の内容を決めましょう。
2)ディプロマに必要な内容を決める
次に、ディプロマに記す内容を決めます。
|表題:DIPLOMA(卒業証書)またはCertificate of Completion(修了証書)
|修了者名
|コースまたは単位の名称(英語表記または日本語表記)
|主文
|発行日
|スクール名、機関名、代表者名
以上が、ディプロマに掲載する一般的な項目です。
ちなみに、修了証書などの賞状には、書式に一定のルールやマナーがあります。
=============================================================
句読点はつけない
→身の周りにある賞状を見ていただくとおわかりかと思いますが、賞状の類に句読点は使われません。
文脈がわかりづらい部分に限り、字間を空けたり改行したりしています。
この書き方は中国に起源があるとされています。
欧米の文化が入ってきて、あらゆる文面に句読点の導入がされてもなお、こうした賞状類の文言に限っては、句読点をつけない慣例が残っています。
それには、「相手を敬って手渡すものに句読点をつけるということは、『句読点がないと読めない』と相手を見下すことになる」ということから、句読点はあえてつけないことにしたという理由があったようです。
主文は簡潔かつわかりやすく
→ディプロマの主文には、簡潔に短く、かつわかりやすく、何のコースを修了したことの証明かを記す必要があります。
修了者名には敬称をつけるべき?
→近年では、ディプロマや認定証、各種免許状には原則として敬称をつけない傾向にありますが、協会によっては「殿」をつけているところもあります。
故人への発行日付は生前にさかのぼる
→万が一、ディプロマの発行申請後に本人が亡くなった場合は、生前の日付にさかのぼるのがマナーです。
=============================================================
3)ディプロマ(修了証書)のデザインを考える
ディプロマの内容決まったら、次はデザインを考えていきます。
=============================================================
有料で作成する場合
→有料で作成する場合は、デザインを外部に依頼できます。
近くの印刷会社に依頼するか、あるいは「ココナラ」などでスキルを持っている人を探して依頼します。
無料で作成する場合
→無料で作成する場合は、
・デザイン作成サービスを利用する
・テンプレートを探してダウンロードし、自分でレイアウトを考える
のいずれかとなります。
デザイン作成サービスを利用する
→「Canva」などのデザイン作成サービスを利用すれば、目的に合ったテンプレートを選択し、用意されている素材から好みのものを選んだり、手持ちの素材をアップロードしたりして、ドラッグ&ドロップで自由にデザインできます。
画像の加工やテキストの追加・変更も可能です。
作成データを保存しておけば、複数の生徒にディプロマを発行したいときでも、デザインをコピーして流用できるので、一から作り直す必要がありません。
テンプレートを探してダウンロードし、自分でレイアウトを考える
→一方、テンプレートをダウンロードして自分でレイアウトを決めるところから始める場合は、まずディプロマの用紙サイズと向きを考えます。
用紙サイズはB5かB4、和文の場合は「縦向きの横書き」または「横向きの縦書き」か「横向きの横書き」、英文の場合は「横向きの横書き」にするのが一般的です。
自分で作るディプロマの場合、いかにも自宅のパソコンで作りましたという雰囲気が出てしまいがちですが、次のことに注意して作成すると、よりプロ仕様に近づきます。
|主文を用紙の天地の中心にくるようにする
|主文はお皿を伏せたような形になるように改行・配置し(横書きの場合)、最終行は少し余白ができるように配置する
|修了者名は、主文より大きく、表題より小さい文字で
|主文の文字は、修了者名や機関名より小さめ、発行日よりは大きめで
|主文の書き出しは1字下げない(改行した場合も)
|主文の改行は原則1回のみ
|句読点は用いない
|一つの語句が改行で2行に分かれないようにする
|「は・へ・を」といった助詞などが行頭に来ないようにする
|発行日は主文より1字分ほど下げる
|機関名は主文よりやや大きめ、修了者名よりやや小さめの文字で
|機関名は、組織印や代表者印などを押すスペースを考慮して配置する
以上のことを意識するだけでも、出来栄えは大きく変わります。
=============================================================
4)印刷する
ここまでできたら、いよいよ印刷です。
=============================================================
印刷会社はディプロマを扱っているところを選ぶべき?
→ディプロマを扱っている印刷会社を選ぶのに越したことはありませんが、メインで扱っていなくても一般的な賞状類のテンプレートとなるものはあるはずなので、依頼は可能です。
パソコンが苦手という人にはおすすめの方法です。
また、データの持ち込みが可能であれば、その分コストを下げられる場合もあります。
安く速く仕上げたいならネット印刷がおすすめ
→「プリントパック」や「オンデマンドおまかせ.com」などのネット印刷会社なら、豊富なテンプレートから好みのものをダウンロードし、データを作成できます。
テンプレートを指定し、印刷項目をエクセルで送ればレイアウトから印刷までやってくれるところもあるので、イラストレーターなどのソフトの扱いが苦手な人でも安心です。
=============================================================
ディプロマの効果的な活用方法
ディプロマは、生徒のモチベーションを上げる何よりの目標になります。
「ディプロマを取得すれば講師として自分の教室を開くことができる」という希望を持たせることができ、実際に取得できれば大きな自信につながります。
同時に、「いい加減なことは人に教えられない。もっともっと勉強しなければ」という責任感を持たせることにもなります。
そんな生徒が講師になったあかつきには、そこからまた新たな講師と教室が誕生し、生徒がやって来ます。
確かな知識と技能を持ち、さらに教え方が上手で好感度の高い講師であれば、口コミで生徒の数も増えていく可能性もあります。
これが続いていくことで教室の人気が上がり、ひいては多くのプロを輩出している協会であるという認知度も上がることにつながります。
そのためには、求められる知識や技術をしっかりと持ち、生涯にわたって学び続ける意欲のある人材を育てるつもりでディプロマを発行していくことが大切です。
また、ディプロマのデザインも、教室や協会のイメージを左右する大きな要素となります。
きれいで品格のあるデザインのディプロマ証が飾られてあれば、必ず訪れた人の目を引きます。
「自分もこんなディプロマがほしい」
外見的にも内容的にも、そう思わせるようなディプロマにしたいものですね。
まとめ
ディプロマの発行には一見面倒なプロセスを踏む必要があるように思えますが、実際は民間で誰でも発行することができます。
印刷会社に依頼して作成したものでも、個人でパソコンとプリンターを使って作成したものでも、ディプロマとして必要な事項が記載されていれば効力を有することになります。
生徒のモチベーションアップのためにも、また教室や協会の繁栄のためにも、ぜひ素敵なディプロマを作ってみてはいかがでしょうか。