民間資格の作り方を分かりやすく解説! 費用や手順は?誰でも作れるの?
~ はじめに ~
コロナ禍によってあらゆることが変化し、「自分で何かを作りたい、始めたい」という発想が浸透してきたこともあり、2020年あたりからは、その一環として「民間資格を作りたい」という人が増えてきているといいます。
そもそも、民間資格は個人で作れるものなのでしょうか?
まずは、民間資格と国家資格の違いをご説明してから、本題に入ります。
民間資格とは?
民間資格とは、法的根拠によらず自由に設定できる資格のことをいいます。
官庁のチェックや許可が不要であるため、さまざまな種類の資格が存在します。
ある分野で一定のスキルを有することの証明として有効な場合もありますが、就業に必須というわけではありません。
国家資格とは?
日本での国家資格とは、国の制度に基づいて各分野での個人のスキルが判断され、特定の職業に従事できることを証明するものを指します。
国家資格は、業務独占資格・名称独占資格・設置義務資格(必置資格)の3つに分類されます。
民間資格は誰でも作れるのか?
民間資格は、社団法人や財団法人などを作らなくても、個人で作ることができます。
自分で資格を作ることには、
・その資格に必要なスキルを自分で考えて決めることができる
・自分がその資格取得者であることを名乗るだけにとどまらず、他者の資格取得も推進できる
・自分の努力次第で、その資格の価値を上げることができる
・それまで資格取得のために支払っていた費用を、自分の資格の発展に回すことができる
といったメリットがあります。
では、どのようにして自分で民間資格を作ればよいのでしょうか?
民間資格を作る方法は2つ
民間資格を作る方法は、大きく分けて次の2つがあります。
その1:業界団体の公認をもらって新設する
その2:自分で商標取得を目指し、民間資格の内容を検討する
これからその方法について具体的にご紹介していきますので、メリット・デメリットを考慮しながら考えてみてください。
【民間資格を作る方法】
その1:業界団体の公認をもらって新設する
これから民間資格を新設しようとしている人に、その業界の権威とも呼ばれる人とコネクションがあるなら、あるいはこれから持てるなら、業界団体にオーぞライズしてもらって新設するという方法をとることが可能です。
これにより、「◯◯公認の資格」と名乗ることができるようになるため、集客に有利に働く可能性が高くなります。
ただし、それなりのしがらみが生じることになり、その方面のいろいろな人に忖度しながら資格の内容を決めていかなければならなくなるため、思い通りに計画していくのが難しくなる可能性もあります。
【民間資格を作る方法】
その2:自分で商標取得を目指し、資格の内容を検討する
業界にコネクションがない場合は、自分で(あるいは自社で)商標取得を目指して資格を新設することになります。
業界団体のオーソライズが受けられないとなると、ネームバリューのなさゆえに厳しい船出となる可能性はありますが、どこにも気を遣う必要がない分、資格内容の決定には自由度の高さが伴います。
自分自身で民間資格を作る場合の手順
では、自分自身で民間資格を作る場合は、どのような手順を踏めばよいのでしょうか?
ここからは、
➀民間資格を作る目的を考える
➁他の民間資格との差別化を考える
➂民間資格の対象となるターゲットを決める
➃名称を決める
➄商標を確認して商標登録する
の順に詳しく解説していきます。
民間格を作る目的を考える
まず、なぜその資格を作りたいのかを考えます。
その資格を作ること、その資格を取得する人が増えることで、社会に向けて何を実現したいのかを明確にするとともに、それをどう収益化していくかについてもしっかり考えてみましょう。
➁他の民間資格との差別化を考える
世の中には、似たような内容の民間資格がたくさんあります。
それでも新たに資格を作りたいということであれば、他の資格との差別化をしなければなりません。
つまり、「その資格は他にはない何を売りにするのか」「その資格を取得した人はどんなオンリーワンになれるのか」を考えて資格の内容を決め、そこを強くアピールしていく必要があるのです。
人気があり、取得者がどんどん増えている資格には、次のような特徴があります。
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◇名ばかりでなく、スキルがしっかり身につく内容の資格であること
◇世の中の多くの人の悩みに応え、解決へと導く資格であること
◇職人を育成するような感覚的な資格ではなく、体系的にスキルを身につけられる資格であること
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これらを意識して、オリジナルなアピールポイントを作っておきましょう。
➂民間資格の対象となるターゲットをきめる
その資格を取得してほしい人を明確にします。
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・男性か、女性か
・年齢層はどのあたりか
・資格取得後はどんな分野でどんな活躍をしてもらいたいか
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ターゲットが明確になっていないと、内容もふわっとしたものになってしまいます。
➃名称を決める
資格の名称は、上記すべてを考慮した上で決めていきます。
そこで、名称を決める上で気をつけたいことをご紹介していきます。
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内容をそのまま資格名にしない
単純に資格の内容をそのまま名称化しただけにならないよう、独自性を持たせましょう。
内容をそのまま名称にすると、同じ分野の別の資格の名称と似通ってしまう可能性があります。
そうなると、特許庁から「識別力がない」という指摘を受け、商標登録に至るのが困難になってしまう可能性があります。
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ターゲットをときめかせる名称にする
たとえば、主に女性に取得してもらいたい資格なら、「◯◯カウンセラー」「◯◯インストラクター」「◯◯アドバイザー」などにとどまらず、「◯◯セラピスト」「◯◯アーティスト」など、いかにも女性がときめきそうな名称も考えます。
ターゲットの心をつかみ、資格取得後の自分の姿を思い描かせるような資格名にしましょう。
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避けたほうがいい資格名とは?
たとえば、主に女性に取得してもらいたい資格なら、「◯◯カウンセラー」「◯◯インストラクター」「◯◯アドバイザー」などにとどまらず、「◯◯セラピスト」「◯◯アーティスト」など、いかにも女性がときめきそうな名称も考えます。
ターゲットの心をつかみ、資格取得後の自分の姿を思い描かせるような資格名にしましょう。
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避けたほうがいい資格名とは?
すでに存在する国家資格や、商標登録されている資格と間違われるような名称は避けましょう。
たとえば、「◯◯専門医」「△△管理士」など、医師資格や士業などと間違われそうな名称をつけたり、すでに商標登録されている資格の名称の後に「検定」をつけ加えただけなど、類似した資格名をつけて紛らわしくしたりするのはよくありません。
どうしてもいい名称が思い浮かばないという場合は、ターゲットとする性別や年齢の人を対象に、クラウドソーシングサイトなどで名前を考えてもらうのも一案です。
有料にはなりますが、じっくり考えている時間がないという場合には手っ取り早い方法ですし、自分ではとても思いつかないような斬新な名称が出てくる可能性は大いにあります。
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➄商標を確認して商標登録する
民間資格の商標登録には、「申請」と「登録」の2段階で費用がかかります。
1件10~20万円が相場となります。
では、商標の取り方を詳しくご紹介していきます。
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1. 資格名の候補を1つか2つ考えておく
2. 弁理士にコンタクトし、動機などを説明する
3. 弁理士による調査の結果やコメント、見積もりをもらう
4. 決定した商標やロゴを弁理士が特許庁に出願
→2~4まではおよそ1週間、さらに審査に2~7ヶ月かかります。
急ぎの場合は、弁理士にその旨を伝えておきましょう。
5. 登録査定と所定の手続きをもって商標登録完了
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一見煩雑に感じるかもしれませんが、知財事務所のウェブサイトのフォームから相談すれば、弁理士のほうからされる質問に答えていくだけで、商標登録の出願まで完了します。
名称の候補のほか、さきにも述べたような、資格保有者になってほしいターゲット像もあらかじめ考えておくことをおすすめします。
商標登録は必須なのか?
民間資格の商標登録には、「申請」と「登録」の2段階で費用がかかります。
1件10~20万円が相場となります。
では、商標の取り方を詳しくご紹介していきます。
◇オンリーワンの資格名になる
これから資格を取ろうとしている人は、その資格を頼りに困っている人から相談されたとき、問題解決へと導く手助けとなることを目指していますよね。
たとえば、商標登録をせずに「お片づけマイスター」という名称の資格を新設したとします。
そこへ、後日別の人が「片づけマイスター」という資格を作ったり、また別の人が「お片づけ認定マイスター」という資格を始めたりしたら、どうなるでしょう?
特定の資格を持つ人に相談したいと考えている人にとっては、どの資格のことだったのかわかりづらくなってしまい、その結果、「お片づけマイスター」の資格を持っている人にまでたどり着けなくなるおそれがあるのです。
◇他の人が自分の資格名を勝手に使用することを防ぐ
資格名が商標登録を認めてもらえれば、他者が類似した資格名をつけることを防ぐことができます。
◇類似する資格名の乱立による「とばっちり」を防ぐ
類似した名称の資格が増えると、「とばっちりを食らう」可能性が大きくなります。
たとえば、新設当初は無名で価値のない資格だったとしても、その資格保有者が確かなスキルを持っていて社会の役に立っていると認知されれば、その資格の価値そのものが少しずつ高まっていきます。
でも、他の人が作った似たような名称の資格を取得した人のスキルが低く、悪評まみれだったとしたら、名前が似ているというだけで世間から十把一絡げに扱われ、「この手の資格はたいした資格ではない」と全体的に評価を下げられてしまうおそれがあるのです。
つまり、商標登録さえしていれば、こういう事態に陥るのを防げるだけでなく、その資格の価値を、自分たちの思っている方向へ、適切に高めていくことができるというわけです。
せっかく自分で民間資格を作るなら、高い人気を誇る民間資格にしたいものです。
さらに、その人気がそのまま収益につながれば言うことなしですよね。
そこで、ヒットする民間資格を作るポイントをご紹介していきます。
民間資格のネーミングが目的と一致しているか?
「この資格を取りたい!」
そう思ってもらうためには、その資格を取得する価値を的確に伝えることがもっとも大切です。
その意味でも、民間資格名はとても重要です。
なぜなら、内容がわかりにくい資格名だと、世間に浸透させるのが難しくなってしまうからです。
高い広告費をかけてホームページやチラシを作って宣伝しても問い合わせすら来ない……そんなお悩みをお持ちの方は、もしかしたらその資格の独自性やメリットをうまくネーミングに反映できていないのかもしれません。
民間資格のネーミングが目的と一致しているか?
「この資格を取りたい!」
そう思ってもらうためには、その資格を取得する価値を的確に伝えることがもっとも大切です。
その意味でも、民間資格名はとても重要です。
なぜなら、内容がわかりにくい民間資格名だと、世間に浸透させるのが難しくなってしまうからです。
高い広告費をかけてホームページやチラシを作って宣伝しても問い合わせすら来ない……そんなお悩みをお持ちの方は、もしかしたらその資格の独自性やメリットをうまくネーミングに反映できていないのかもしれません。
ビジネスモデルが構築で来ているか?(稼ぐ仕組みがあるか?)をチェックしよう
もう一つ大切なのは、見た人の心を掴む資格名をつけた上で、ビジネスモデル(稼ぐ仕組み)を構築することです。
資格ビジネスは、
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1)協会が資格を発行する
2)スクールで民間資格対策教材を販売
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が基本になります。
1と2は、基本的に同じ会社が行います。
つまり、民間資格をただ作るのではなく、その対策テキストの販売も行うのです。
これによって、「その民間資格を取得するためには、その講座を受講することでしか対策できない」ということになるため、民間資格に魅力を感じた人はここに申し込まざるを得なくなる、という仕組みです。
自分たちで民間資格とその認定制度と試験を作り、さらにその対策教材まで作るなんて、そんなこと許されるの? と思ってしまいますよね。
でも、マイクロソフトはMOSという自社製品のスペシャリスト資格の発行と同時に、ビジネスとしてスクールの認定も行っていますし、実用英語技能検定を開始した日本英語検定協会は、旺文社の外郭団体です。
要するに、こういうことは実際に行われており、ビジネスモデルとして当たり前とされているのです。
民間資格ビジネスの本質とは?
ただし、自分たちの儲けしか考えずに作った資格には、いつか必ず綻びが生じます。
最も大事なのは、資格の内容です。
その資格を取得した人がその分野で活躍できるかどうかが重要なのです。
効率的な収益化と同時に、受講者の学びや資格取得者の活躍に貢献できる制度・基準作りを考えて、誠実に運営していきましょう。
情報社会の現代では、一度落とした信頼を回復するのはとても大変なことです。
民間資格の作り方 まとめ
民間資格の作り方のポイントは、次の4つになります。
・資格を自分で作るからには、他との差別化を考えよう
・資格名はありきたりにせず、独自性を盛り込んで決めよう
・民間資格の商標登録は、安全な継続のためにも必要
・どんな資格であれ、その中身が最も大切
既存の資格には自分が求めているものが見つからない、「こんな資格があったらいいのに」と思う分野がある……そんな方にこそ、理想の民間資格を自分で作ることをおすすめしたいと思います。
立ち上げ当初はなかなか思うように集客できないこともあるかもしれませんが、「この資格を取りたい!」と思って受講してくれる人たちのことを誠実に考えた運営を続けていけば、高い人気と信頼、ひいては多くの収益をもたらす資格に育ってくれるはずです。